◆最終回&地上波放送開始記念! キャスト&時雨沢先生コメント

4月よりNHK-BS2で放送が続いていた『リリアとトレイズ』のアフレコも無事に終えたところで、キャストの皆様&時雨沢先生に収録の思い出やNHK教育テレビでの放送開始に向けたメッセージを語って頂きました!

――全26話の収録が終わっての感想をお聞かせ下さい。

水樹奈々さん:26話本当にあっという間でした。今日でアリソンファミリーと毎週会えるのも終わり…と思うと、とても寂しいです(泣)。でも、とても内容の濃い半年間でした!

吉野裕行さん:無事終わってくれてホッとしてます。あとは皆さんが楽しんでくれれば…。

桑島法子さん:さわやかな最終回でした。もっと長く演じていたかったなぁ。

森川智之さん:あっという間に最終回が来てしまい、とても寂しい感じがします。もっともっと演じていたいという作品でしたね。

山寺宏一さん:あっという間の26本だったのが率直な感想です。後半出番のない回もあったことから、より「えっ、もう終わってしまうの!」という感がありましたね。原作は長編でしたが、アニメで全部のエピソードを拾えないこともあって、やはり26本は短かったなと言うのが正直な気持ちです。

能登麻美子さん:続々と事件が巻き起こり、駆け抜けるように過ぎた全26本だったように思います。フィオナは途中から参加させて頂いたのですが、この作品に関われて幸せだったなと、収録が終わって思いました。

――あらためてご自身の演じられたキャラクターについての感想をお聞かせ下さい。

水樹さん:アリソンの少女時代、そしてリリア。母子二代に亘って演じることができるなんて…こんな貴重な体験をさせていただき本当に幸せです。好奇心旺盛、我が道を行く2人に、思いっきり振り回してもらいました(笑)。2人ともカワイくて大好きです♥

吉野さん:好青年でした。優しい人です。けど、とても努力家だし、心が強い人だなぁと。

桑島さん:大人になったアリソンを演じさせて頂きました。奈々ちゃんの演じたアリソンをもとに、今のアリソンがあり、それをイメージしながら自分の中のアリソンとのすり合わせを行っていった結果、ああなりました。常に娘リリアの心に寄り添っていてあげる…素敵な母親役でしたね。

森川さん:くまいさんが作ってくれたキャラクターを引き継いで演じたので感動も2倍です。

 ――森川さんへ、リリアについてのご感想もいただけますか?

 リリアについては、この親にしてこの娘ありですね。女性は強いなとしみじみと感じます。

山寺さん:最初こそ、女の子にすぐ声を掛ける軽い男のイメージがあったんですけど、正義感はとても強く、作品を通して他のキャラクターたちが成長していく中で、ベネディクトも変わっていった印象があります。気がつくとおっとりとした愛妻家の雰囲気を醸し出しているのには驚きました(笑)。フィオナと出会ってから彼はより誠実な人物に、またアリソンたちを見守る側の立場として、成熟していったなと演じていて思いましたね。

 ――山寺さんへ フィオナの感想もいただけますか?

 フィオナについては、演じている能登さんのイメージと重なり、透明感の漂う気品のある女性に感じます。はじめは気の強い女性で、本当のことがわかるまではお転婆な少女のイメージでしたが、王家の血を引くことを知った途中からは、ピュアな存在に。楚々とした王家の雰囲気を漂わせるようになりました。
  後半、特に見た目なのですがヒゲを蓄え老けた感じのするベネディクトとは対象的に、フィーはほとんど変わっていないので、だいぶ年下の奥さんをもらってしまった感じがします。いつまでも可愛らしい彼女ですが、いざという時の芯の強さも併せ持っています。アリソンもフィ−も清楚なイメージがありながら、みんな芯が強いですよね。ベネディクトはリードしているように見えますけれども、実は尻に敷かれフィオナの手のひらで転がされているように思います(笑)。

能登さん:フィオナはとても芯の強い女性でした。それは要所、要所で表れていて、普段はあたりの柔らかい女性なのですが、その女性が見せる凛とした強さが好きでした。

――「アリソンとリリア」という作品はご自身にとってどんな作品だったでしょうか?

水樹さん:家族の温かさ、大切さ、そして仲間との絆…。あたりまえになってしまっている日常の中の大切なモノに改めて気づかされる作品でした。自分の信念を貫き通すアリソンやヴィル達から本当に多くのパワーをもらいました!

吉野さん:誠実に生きていこうと思わされました。

桑島さん:人生という列車に、途中の駅から乗車した感じ。親から子へ受け継がれていく大切なもの、愛情はもちろんのこと、人生は自分の手で切り開くものだと。そして、女は強いなと思う作品でした。

森川さん:あまりにも話自体が壮大すぎて、ついていくのが精一杯でたいへんだったんですが、演じていくうちにだんだんと周りが見えてきて、この作品の奥深さを感じました。もっともっといろんな視点から、ゆったりと演じたかった気持ちは多くあります。全26話だけでは少しもったいない気持ちですね。

山寺さん:時代設定と、世界観に不思議なものを感じさせられます。それらは一見、身近さを感じさせながらも架空の世界を描いていて、時代も19世紀のヨーロッパを思わせる懐かしい香りのする古き良き時代と、ファンタジックな雰囲気の両方を併せ持つ不思議な世界観です。架空ではあるけれどもリアルに見え、なおかつアナログの感じがする世界ですね。ロマンチックでとてもいい雰囲気なのが印象的です。けれどもメルヘンとか、ロマンチックという言葉が似合う一方で、実際には物語の中で戦争が行われていて、そのギャップにも惹きつけられるのかなとも思いますね。

能登さん:“世界名作劇場”のような印象で…。世界観が大好きでした。自分の中でも縁があって嬉しかった作品です。

――アフレコ中で面白かったこと、楽しかった、他。思い出に残ったことはありますか?

水樹さん:アフレコスタジオでは山寺さんに本当に良い空気を作っていただいてました♪あと、時雨沢先生がとてもおもしろい方で…(笑)。イベントもとても楽しかったです♪

吉野さん:NHKでのイベント用にビデオ収録した際、山寺さんがネタを盛り込んだメッセージで楽しませてくれて、よくその場で色々と出るなぁーと驚きました!

桑島さん:皆でEDの歌手の方(松本素生さん/GOING UNDER GROUND)の歌声が、トレイズ役の吉野君の声にそっくりだと言っていたこと(笑)。

森川さん:途中からの参加でしたが、他のキャストの方々にあたたかく迎えられて楽しく演じられました。

山寺さん:1つのシリーズの中で前半と後半に分かれていて、世代が受け継がれている作品は僕自身経験がなかったのでとても印象的です。くまいさんの演じたヴィルが森川さんに代わり、アリソンも水樹さんから桑島さんへ受け継がれる。さらにその水樹さんはアリソンの娘のリリアを演じることになり、トレイズ役として吉野さんが新たに加わる。とりわけ、水樹さんと桑島さんが演じるアリソンは違っているように見えて、いい感じでバトンタッチされているのはおもしろいなと思いました。ただ、長編の原作を一気に駆け抜けてしまった感もあるので、いずれは1つ1つのエピソードを膨らませて別のお話がつくれればいいなと思うし、ぜひベネディクトとフィーの恋物語を深く掘り下げたアニメを作っていただいて、演じてみたいなと思っています。また戦闘機が飛ぶシーンのスピード感や、世界観の美しさがとても印象的なので、じっくりと見ていただけるようなスピンオフも見てみたいですね。

能登さん:良い現場でした!!締まる所と緩む所のバランスがとても良くて、毎回毎回濃密でした。

――最後にいよいよ10月4日より地上波(NHK教育)にて放送がスタートしますが
   これからご覧になる皆さんに一言お願いします。

水樹さん:子供から大人まで、楽しんでいただける作品だと思います!飛行機でのアクションシーンは見ごたえ抜群!アリソン達の生き生きとした姿からパワーを沢山もらえます!一緒に笑って一緒に泣いて…みなさんにもぜひアリソンファミリーになっていただければと思います!

吉野さん:26本見てほしいです。「アリソン」も「リリア」もヨロシクお願いします!

桑島さん:決して派手な作品ではありませんが、いろんな人生のヒントが詰まっている作品だと思います。是非、親子でご覧になって下さい。

森川さん:是非、第1話をお見逃しなく!

山寺さん:いろんな要素が描かれている作品で、青春、淡い恋心も描かれつつ、戦争という背景の中での使命感、今の時代にはなかなかない運命のイタズラを幅広い人たちに見ていただきたいと思います。僕はOPテーマとEDテーマが大好きなんです。
作品の背景には戦争がありますが、OPの美しい映像が流れた瞬間、抵抗なくすっと作品世界に入っていける。そんなところがとても好印象に思っています。
ほかにも、いろんな要素が盛りだくさんに描かれていますので、ぜひじっくりと楽しんでいただいて、多くの方に見ていただきたいなと思います。

能登さん:楽しい時間を過ごして頂けたら嬉しいです。地上波になりますと、皆さんに見て頂く機会も、より増えるかと思います。一人でも多くの方にご覧になって頂きたいです。

◆原作の時雨沢恵一先生にもコメントを頂きました!

――アフレコ全話の収録が終わっての感想をいただけませんでしょうか?

26話中、締め切り直前で行けなかった4回以外は立ち会いました。およそ半年、長いようであっという間でした。普段の1人でやっている自分の仕事とは違い、多くの人間の共同作業でしたので、いろいろと学ぶところが多かったです。アニメにおける台詞回しは、何度でも読み返せる小説とは違うということがよく分かりました。

――アフレコ中でおもしろかったこと、楽しかった、印象に残ったことはありますか?

私は普段はアニメを見る方なので、名前を知っている声優さん達に会えたことが役得でした(笑)。そしてまた、声優さん達がいかに現場では苦労し努力し集中しているのかがよく分かる体験でもありました。イベントではそんな声優さん達と一緒に人前で喋ることに。緊張しっぱなしでしたが、素人だからと逃げるわけにも行かず、精一杯頑張りました。あと100回くらいやれば慣れるはずです、たぶん。

――最後に10月より地上波(NHK教育)にて放送がスタートします、
   これからご覧になる皆さんに一言お願いします。

とても嬉しいです。しばらく間が開いてから地上波だと思っていたので、10月から開始と聞いたときは驚きつつ嬉しかったです。これからご覧になる皆様――アリソン達、そしてリリア達の2世代にわたる冒険をお楽しみに!

(C)時雨沢恵一/アスキー・メディアワークス/「アリソンとリリア」製作委員会

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◆原作者の時雨沢恵一先生からアニメ放送開始コメントをいただきました!

『アリソンとリリア』公式サイトをご覧の皆様、再びの今日は。

原作者の時雨沢恵一です。 
いよいよ放送が始まりました!
これから全二十六話、アリソンとヴィル、ベネディクトとフィオナ、そして後半から登場予定のリリアとトレイズにおつきあいください。
自分のことで恐縮ですが、放送前の三月は仕事と私事で大変な一ヶ月でした。どうにかそれを乗り越え(編集さんに怒られずにすみました)、新年度のスタートをアニメ放送と共に始められることを、本当に嬉しく思います。

ちょっと昔話をさせてください。
今からちょうど九年前、一九九九年の春――就職活動に失敗して無職だった時雨沢は、必死になって小説を書いていました。
電撃文庫が主催する、新人賞へ応募するためです。私の処女作、『キノの旅』でした。
そしてそれが認められ二〇〇〇年にデビューを果たし、作家生活が始まりました。
『キノの旅』をW巻まで書き、次の作品として、そして初の長編として世に出したのが『アリソン』でした。二〇〇二年の三月でした。
この作品はとにかく“難産”でして、あまりの進みの遅さに一度中断し、『キノの旅』のX巻を書き終えてから残りを書いた、などということもありました(以前別の場所で勘違いして、W巻と言ってしまいましたが正確にはX巻です)。
『アリソン』のタイトルに“T”は入っていません(『リリアとトレイズ』には入っています)。これは、次が必ずしも出せるとは限らず、一巻で終わってしまうことが十分に有り得たからです。
その後、読者の皆様のおかげで『アリソン』はU巻、V巻と年に一冊のペースで書いていくことになりましたが、これまた本当に大変でした。
『キノの旅』のような短編連作では、一話はおよそ三日から一週間、長くても二週間ほどで書き終わります。集中力がとぎれる前に終わり、次の話へとリセットできます。
ところが長編はそうはいきません。分量にして『キノの旅』の二倍から三倍を、三ヶ月から四ヶ月かけてひたすら進めていく執筆作業となります。
書けども書けども、まだ終わりが見えてこない。
一箇所で詰まると、その先へと何日も進めない。
締め切り日は刻々と近づくので、気ばかり焦ってさらに進まない。
外は紅葉がキレイで天気もいいのにバイクに乗れない。――まあ、自分が悪いんですが。
そんな辛い中で思っていたことが、
「書き終えたら、いつかアニメ化されるかもしれない!」
ということでした。
当時は『キノの旅』がアニメになっていましたので、
「願わくばこっちも!」
と、シーンを頭の中でアニメとして空想しつつ、自分を奮起させ――
最終的にはなんとか、期日通りに書き上げることができました。
“アニメ化の夢”はまるで、砂漠彷徨い中の人が見る、オアシスの蜃気楼のようでした。

なぜにこんな昔話をしたかといいますと――
今年の春、アフレコに立ち会ったりNHKでの試写会で一話を見たり放送を観たりしている最中、当時のことを不意に思い出して、目が潤んだことがあったからです。
どうにかこうにか泣きませんでしたが、時雨沢ちょっとピンチでした。
オアシスは、いいところでした。

今これを読んでいる方の中に、将来小説家や漫画家を目指している人がいたら――
もし将来あなたがデビューして、そしてアニメ化されて、放送を見たときに、
「あ、時雨沢があの時感じていたのはこれか」
そう分かってくれると思います。

半年にわたる放送期間ですが――
終わってみれば、「短かったなあ」と思うかもしれません。
逆に、「長かったなあ」と思うかもしれません。
でも今は――その真っ最中。
毎週一回あるアフレコ立ち会いと放送の日を、ワクワクしながら待っています。
 
半年にわたる放送期間ですが――
終わればまた――
時雨沢は、別の砂漠に行ってきます。

スタッフの皆様、キャストの皆様、そして製作、放送に携わる皆様。
アニメにしていただき、本当に感謝します。ありがとうございました。
おかげで、時雨沢はまたしばらく彷徨えます。

 

二〇〇八年 五月 時雨沢恵一 

                   


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◆原作者の時雨沢恵一先生からコメントをいただきました!

『アリソンとリリア』公式サイトをご覧の皆さんこんにちは。原作者の時雨沢恵一です。
今回はこうして、"特別頼まれてもいないのに"コメントを書いています。月末締め切りの本業の小説執筆が全く進まないのがその理由ではありません。そんなことはありません。全然違いますよ。

 アニメ版『アリソンとリリア』、いよいよ来月――放送開始です。
時雨沢はドキドキワクワクが止まりません。今からテレビの前で寝袋にくるまって寝ながら待ちたいくらいですが、本業の執筆が進まないと編集さんにここではとても書けないような怒られ方をするのでそれはできません。

 すでに、一話のアフレコ(声の録音)には立ち会わせていただきました。
まず、錚々たる顔ぶれの声優さん達に感激しました。あまり声優さんに詳しくない私でも、主役級の皆さんは、かつてどこかで声を聞いた覚えがあります。
アリソン役の水樹奈々さんの歌を私はカラオケで歌いますし、ヴィル役のくまいもとこさんは、『カードキャプターさくら』で何度声を聞いたことでしょう。ベネディクト役の山寺宏一さんは、好きなキャラが多すぎて書ききれません。そして"嘘つき老人"役の××××さん。まだ発表できない段階だと思いますので伏せ字にさせていただきましたが、リストに名前を見たときは背筋が震えました。その後に声を聞いてまた震えました。
目の前でアニメの声が生まれて吹き込まれていくというのは、歌手のライブのような臨場感と生々しさがあります。放送一話を見ながら私は、その時のことを思い出すでしょう。
余談ですが時雨沢も、読者の皆さんを集めてその前でライブで小説を書いたらどうだろうと思いました。思いましたが、汗くさい寝巻きのままキーを叩いたり、時々ウーロン茶をラッパ飲みしたりしていることなど誰にも知られたくないのでやっぱりやりません。なんでそんなこと思いついたんでしょう?

 そしてアフレコの時に見た、動く映像にも感動しました。アニメのキャラとして、金髪を翻して動くアリソンの格好いいこと。そしてヴィルの可愛いこと。――なんかヒロインとヒーローが逆な気がしますがさておきます。
コンピュータグラフィックスで描かれる飛行機にも、思わず顔がにやけました。実在の飛行機をモデルにしたCGは格好良く、飛行シーンでは注意して見るとエルロン(翼の脇のパーツ)が微妙に動いているという芸の細かさです。スタイリッシュなスー・ベー・イル軍水上戦闘機のアニメ用デザインもすでに見させてもらっています。この先にある空中戦のシーンが楽しみでなりません。

 原作者の立場から最初に言わせてもらえれば――アニメは、小説とは違います。
時間や見せ方の違いなどの都合で、小説そのままがアニメになるわけではありません。でも、アニメには小説には絶対にない、"動き"と"声"と"音"が加わります。この差は、とても大きいです。
すでに小説を知っている読者の皆さんには、どうアニメになり、どう変わって、どう変わらなかったのかを是非確かめてもらいたいと思います。
小説未読の方には、アニメで描かれたシーンが、原作小説ではどうなっていたのか、またどんな追加をされた、また描かれなかったシーンがあるのかに興味をもってもらえたら、より楽しめますよとオススメしておきます。

 これから半年の間――、毎週木曜日夜はアリソンとヴィルの、そしてリリアとトレイズの冒険をお楽しみ下さい。
あなたが放送直前にテレビをつけたとき、時雨沢は日本のどこかで、正座しながら、ワクワクしながら放送時間を待っていることでしょう。

二〇〇八年 三月 時雨沢恵一

                   


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© 時雨沢恵一/アスキー・メディアワークス/「アリソンとリリア」製作委員会